僕は発展途上技術者

Scratch Day in Tokyo 2017 振り返り

Scratch Day in Tokyo 2017 が開催された。

今年は6年前と同じ青山学院アスタジオでおこなわれました。初めて Scratch Day に参加したときの会場で、懐かしい場所。

こちらがそのときのブログエントリーです。

» Scratch Day 2011 in Tokyo に参加してきました

阿部先生も言ってましたが、原点回帰というか、和気あいあい、草の根的な雰囲気で、個人的には一番 Scratch Day らしい盛り上がりだったなという感想を持ちました。

ハッカソンスペースの熱気、子供たち中心で企画、運営されていたペアプログラミング、応募者全員が発表できるよう時間枠を今までの90分から計120分に伸ばし、ハッカソンスペースの成果発表も取り入れた Show & Tell といったところに、これは Scratch が好きな Scratcher のためのイベントなんだという色が色濃く出ていたと思います。

Scratch を楽しむ大人だっているのだけれど、Scratcher の多くは小中学生なので、そのこどもたちを主役にしようという方向性に徐々になっていったのが結実した感じでした。

2012年の Scratch@MIT で本家 Show & Tell を実際に見たのがきっかけで、これを是非日本に持ち帰り、一般的にはプレゼンが苦手とされる日本のこどもたちに、たくさんの人の前で発表する機会、場数をたくさん持ってもらいたいという思いで始めた日本版ショウアンドテルは、今年で5回目を迎えました。

昨年よりさらに枠を増やし、ハッカソンの発表を含めて全18作品が発表されました。

良く誤解されるのが、優秀な作品だけが発表の機会を与えられると思われているのですが、過去5回全て基本的には応募作品は全て採用し、全員が発表できるように枠を調整してきています。

今年発表された作品は以下のスタジオから見ることができます。

» Show & Tell @ Scratch Day 2017 in Tokyo

どの作品も、それぞれのレベルに応じてとても独創的で、毎回これらの作品を Scratch Day 本番前に見ることができるのを、運営者特権の楽しみにしています。

さて、大人たちにお願いです。これらの作品を見てみて何らか感じることがあったら、スクラッチアカウントを取っていないならユーザー登録した上でログインして、ぜひともコメントを残していって欲しいのです。

これらは彼らが何時間も時間をかけて苦労して作った作品です。それをちょろっと触ってみて、「ふーん」となんのレスポンスも残さず素通りしていくのはあまりに失礼なんじゃないかと思うのです。なんでもいいから一言、反応を返すというのが、大人であればできることではないかと思うのです。

さて、例年おこなっている Show & Tell の振り返りです。

Keep(来年も続けたいこと)

  • できるかぎり応募者全員の作品を採用する。
  • 宮島くんの司会。
  • マウスを用意。
  • 2部構成。後述するホットコーナーの機能を無効にできた例のように、第1部のトラブルを第2部では修正できる。
  • ハッカソン作品の紹介の枠をもうけた。
  • 発表後、採用作品すべてに、スクラッチサイト上でコメントを残す。

Problem(問題点)

  • こどもはマウスを結構大きく動かすため、画面の四隅を触れると画面が切り替わってしまう Mac のホットコーナーの機能がたえず起動してしまい見ている人に見苦しい思いをさせてしまった。無効にする方法がわかって第2部では修正できた。
  • 僕のワイヤレスマイクがきかなくなり、こどもたちのPCの操作を助けたり、マウスを持ってあげたりというサポートに徹してしまったが、全作品を時間をかけて触ってみた感想や、その子の自慢ポイントをおさえているはずなのに、それをコメントできないのは良くない。

Try(来年改善したいこと、やってみたいこと)

  • こどもたちのPCの操作やマイクのサポートは、手伝ってくれる人を募集しその方にお願いする。僕はコメント役に徹する。
  • ハッカソン作品の紹介枠を増やす。
  • こどもたちに手伝ってもらう。宮島くんに代わる司会進行役など。

三角関数をなぜ習うのか

携帯の予測変換や、iPhone のフリック入力を発明したことで有名な増井氏のブログが面白くて端から順を追って読んでいる。

私の理解では、三角関数が重要なのは 振動や回転の理解や計算に必要 だからである。

» 三角関数は何故重要か : 続・ユビキタスの街角

音楽を習って楽器がひけるようになる、図工で習った版画で年賀状を作れるようになる、と同じことだと思う。三角関数を使えば、たとえば Scratch でこんなプロジェクトをサクッと作ることができる。「大きさとx座標を変えているだけなのに回転しているようにみえる、おもしろっ」となり楽しい。

三角関数を使うことができると楽しい。三角関数を習う理由としては、それで十分じゃないだろうか。小中学生、高校生の頃は、将来、何かの役に立つことになるから勉強するのだと思っていたのだが、40半ばになってわかったのは、大人になってそれを知っていないと困る最低限の算数、数学の知識って九九くらいまでだと思う。

「反原発の不都合な真実」読了 - ものごとを一方からだけから見てはいけない

「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)
藤沢 数希
新潮社
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福島原発の事故から6年、これまで僕は原発、放射能の恐ろしさを伝える情報ばかりを見てきたため、一貫して原発とは恐ろしいもの、原発なんかなくなった方が良いと思ってきた。

一方で、父親の学生のころのエリート、優秀な人たちはこぞって原子力学科に進んでいったという事実、原子力が夢のエネルギーだと考えられていたのは知っていた。

国の政策としてそれまで原子力発電を推進してきたことはしかるべき理由があるのだということを。

「反原発の不都合な真実」では、

  • 原発をやめて火力発電に切り替えた場合、毎年4兆円、余分なコストがかかること
  • さらに火力発電による大気の汚染を考慮した場合、統計的に計算すると数千人規模で余計に死者が増えるということ

を論じている。

火力発電を増やした場合の大気汚染により、死者が増える根拠については筆者のブログの以下の記事に詳しい。

» 原発ゼロにすると大気汚染の増加で何人ぐらい死ぬのか?

大気汚染により死者が増えるという点にピンと来ないという人は多いと思う。僕も、この四月にトランジットでほんの少しだが北京に滞在するという経験をしていなかったら実感できなかったと思う。北京空港の窓から見る外の風景は、うっすらと黄色いモヤがかかっており、飛行機とターミナルの間ほんの一瞬だけ外に出たというのに、僕も妻もそれから北京を離れた数時間、鼻水が止まらないという強烈なアレルギーのような症状に悩まされた。汚染された大気の直接的な影響を体感し、喘息などを持っていたり、もともと体が弱かったり、幼児、老人で長期的に影響を受ければそれが原因で死に至る場合もありえると想像できた。

原子力発電の場合、いったん事故が起こってしまった場合の影響が放射線というまったく目には見えない、一般の人には良くわからない不気味なものであることから、圧倒的に危険なものと感じられてしまう。こういうとき、冷静な科学的な見方が必要だということを本書は教えてくれる。

違うものを比較する場合に「単位をそろえる」という考えかたは算数や理科でも習う科学の基本的な考え方だ。原子力と火力でどちらがより危険かを比較するとき、その恩恵である出力できる電力あたりの犠牲者数で比較している。ものを燃やして発電する火力と比べて、原子の質量が変わることでエネルギーを発生させる原子力は、高校の物理でも習う E=mc^2(このときcは光速なのでmが小さくても莫大なエネルギー)でわかるように圧倒的に効率がいいことも本書で解説されている。結果、単位エネルギーあたりで比較したとき、原子力発電は火力発電含めて、他のあらゆる発電の方法と比べても犠牲者は少ないとのことだ。

また、地球温暖化につながるとされる排出される二酸化炭素の量を比較したときにも原子力発電の方が圧倒的に少ない。

ビル・ゲイツはこの点に注目し、次世代型原子炉の研究開発をおこなっているテラパワーに出資していて興味深い。

» 「ゼロへのイノベーション」 ビル=ゲイツ、エネルギーについて語る。

ここでは触れられていない様々な問題も他にあると思うので、これらをもって、やっぱり原発を推進すべきだ!と全面的にはならないけれども、原発 = 悪と刷り込まれていた考えは改めないといけないと強く感じた。

ものごとを一方からだけから見てはいけないということに気づかせてくれる良書だと思う。

はじめてのプログラミング (学研まんが入門シリーズ) - もし僕がこどもの頃に読んでいたらプログラマーになろうと思ったに違いない

はじめてのプログラミング (学研まんが入門シリーズ)
橋爪 香織 たきりょうこ
学研プラス
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を読了。

学研のまんが「〇〇のひみつ」シリーズはこどもの頃にたくさん読んだので懐かしい感じ。

まんがでスクラッチプログラミングを学ぼうという内容だが、ゲームの作り方、ネットとのつきあいかた、それぞれの長所を活かしたチームワークが紹介されていて、とてもいい感じだ。また、まんがとして、ストーリー、物語としてとても良くできている。

ゲームばかりやってないで、といまだにネガティブに捉えられがちのゲーム。そのゲームを作るというプロセスを非常に肯定的に描いているし、ネットにしても、ネガティブなところばかりをネットリテラシーと称してこどもたちに教えがちになるところを、ネガティブな面に注意しつつポジティブに利用しようというところが丁寧に描かれている。

そして、全体を通して描かれているのが、登場人物それぞれの得意なスキルを持ち寄り協力してプロジェクトを完成させるという欧米流と言っていいチームワーク。なぜチームワークを欧米流と呼ぶかだが、日本の学校で教えるのは、宿題もテストも誰の力も借りずに独力で対応する個人主義だからだ。

以前、テレビの番組でチームラボの猪子さんがそのことを主張していたのを聞いてとても納得した。下の記事でも同様のことに触れている。

日本の学校って個人主義を徹底的に刷り込むようにできているんですよ。宿題をするのは一人、テストも一人、もちろん受験も一人で対応して、それが評価の対象になる。  チームで成果を問うってないでしょ? たまにグループを作って共同で何かすることもあるけど、それが成績に反映されることはないですよね。そして個人に短所があれば先生に叱られる。短所をつぶして個人として完結することを強く要求されるんです。

» チームラボ・猪子寿之:日本は「グループ」、欧米は「チーム」、その違いは何か?

もちろん、メインのスクラッチでプログラミングの部分は、「5才からはじめる すくすくプログラミング」著者の橋爪さんが執筆していて、わくプロシリーズ通して監修している阿部先生のチェックが入っているので、万全の内容で安心しておすすめできる。

ネタバレになるので詳しくは書かないが、映画やまんが、物語の定番の形と言っていいこのまんがのこういうエンディングがとても好きだ。僕はこどもの頃にはプログラマーになりたいとは思わなくて、30代半ばでようやくこれが向いてそうだなと思ってプログラマーになったのだけれど、もしこどもの頃にこの本を読んでいたら、大人になったときにプログラマーになりたいと思ったに違いない。。

プロフィール

株式会社まちクエスト代表、つくる社LLC代表。

Raspberry Piではじめる どきどきプログラミングを書きました。

Amazonから図書館検索 Libron、iPhoneアプリ ひらがなゲーム かなぶん を作っています。

Twitter @jishiha

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