僕は発展途上技術者

Hakuba International School のスプリングキャンプでプログラミングを教えてきました

先々週の話になってしまいましたが、長野県白馬村にインターナショナルスクールの創設を目指すための皮切りとなる活動で、春休みの期間スプリングスクールがおこなわれ、そこでこどもたちにプログラミングを教えてきました。

Connection(コネクション)こそがIntelligence(知性)



地元白馬中心に東京や京都からも参加してきた小学校高学年から高校生までの20人弱のこどもたちが5日間参加するクラスは Programming、Art、Robotics、Music。そして総まとめとして最終日にはこどもたち一人ひとりがプレゼンする機会が設けられ、毎日その準備のための時間があって、プリティッシュスクールイン東京の校長先生も務めていたクリス先生がその指導にあたっていました。

容赦なくイギリス英語でプレゼンのための心構えを説いていくのですが、その中で特に印象に残ったのは、正確な言い回しは忘れてしまったのですが、Connection(コネクション)こそがIntelligence(知性)という内容の言葉でした。こどもたちは Programming、Art、Robotics、Music と別々の事柄を学ぶのですが、そこに関連性、つまり Connection(コネクション)を見出すのがIntelligence(知性)なんだと。 あるいは自分のこれまでの経験だったり、好きなことだったりを関連付けて考えるようにしましょう、というように受け取りました。

始終、Do not be the same, be different. (みんなと同じじゃ駄目だ)や Be the best. (他の誰にも負けるな、一番になれ)といった内容の言葉がかけられ、素朴な環境で育ってきた日本人のこどもたちにそりゃキツすぎやしないかい、とも思ったのですが、最終日には、Power Point をつかったり、楽器をひいたり、動画や(Art の時間で学んだ)ストップモーションアニメで表現したり、(Programmingで学んだ)スクラッチの作品をデモしたり、あるいはテレビ番組で良くみるホワイトボードに貼ったシールをめくっていく形式や、スピーチのみで勝負、などなどそれぞれとても個性的で素晴らしいプレゼンを見せてくれたのです。

ConnectionとIntelligenceのことなど含め、ちょっと考え方を変えるヒントというかコツのようなものをうまく教えることで、こんなにも変わるものなんだなと。いや、こどもたち自身は始めから個性を持っていたので、そこが変わったわけではなく、うまくそれを発揮したり表現する手段を身につけたこどもたちの成長ぶりは立派だと思うし、なるほどうまい教え方だとも感心しました。

おもろい大人たち



こどもたちがおもしろいというのは言うまでもないことで、プログラミングをこどもたちに教えるということを続けている大きな理由の一つなのですが、今回はおもしろい大人たちもたくさんで大いに刺激をもらい楽しませてもらいました。

白馬にインターナショナルスクールを作ろうなんて突拍子もないことを考え実行にうつすなんて相当変わった人(いい意味で)に違いない草本さんがお知り合いのドットインストールを運営している田口さんに Programming のクラスを担当してくれないかと声をかけ、その田口さんに声をかけられて僕も参加することになったといういきさつだったのですが、草本さんが集めてきたほかのクラスの先生方もそれぞれ個性的でなかなかにおもしろい方々でした。

Music では日本の伝統的な楽器である篠笛を、日米野球でのアトラクションやミラノ万博などの各国で公演している篠笛奏者の狩野氏が教え、Robotics ではダンボールでできるロボットの手やそのベースとなる Tensegrity と呼ばれる構造を使った教育プログラムを東大先端研の紙ロボット研究室のメンバーの小仙・黒川氏が進めていました。Art ではストップモーションアニメを使った作品作りを、オーストラリアでオーストラリア先住民のこどもたちに先進的な教育をおこなったことで表彰されたCasey 先生が教えます。

スプリングスクールを支えるほかのスタッフの方々も、スキーがプロ級だったり、海外・国内いろいろなところを旅して写真を撮っていたりなどなど、それぞれに他と違ったユニークなキャリアをお持ちの方々ばかりでした。おもしろいと感じるかどうかはあくまで人それぞれの基準ですが、みんな好きなことを仕事にしているというところが共通していて、どうやらそこを僕はおもしろいと感じたのだと思います。

Let curiosity be your guide(好奇心!好奇心!好奇心!)



Programming のクラスでは、Raspberry Pi を組み立て、その上で Scratch (スクラッチ)を使い好きな作品をつくって、最後にそれぞれデモして発表(Show & Tell)するということをおこないました。一日1時間、最終日のプレゼンをのぞいて4日間のコースだったのですが、ほかの時間はせっかくなので、僕もこどもたちと一緒にほかのクラスを見学させてもらいました。

Robotics の授業では、Tensegrity(以下写真のような輪ゴムと紙でつくった不思議な構造物)を自分でもつくってみたり、Music のクラスでは、鳥笛やたいこを作ったり、篠笛はじめ全部の楽器をひととおり吹いたりたたいたりしてみましたし、篠笛はひとついただいて自宅に持って帰ってきました。



Art のクラスでこどもたちが使っていたストップモーションスタジオというアプリは後日、東京で OtOMO がおこなうスクラッチのワークショップに見学に来てくれた Casey 先生に、うちの次男とともに使い方を教えてもらい、こんな感じで試しにつくってみました。





見たり聞いたりだけでは駄目で、すべてできるだけ手を動かし自分で体験してみないと理解したことにはならない、と心がけています。

Tensegrity をつくるのも、篠笛を吹くのも、ストップモーションアニメをつくるのも、それぞれどこが難しくて、でもそれぞれコツがあって、どうやってその難しさを克服していくのかということはやってみないとわからない。もちろん時間は限られていてほんの触りの部分しかわからないのだけれど、それを教えるその道のプロのひとたちがいかに凄いのかということもちょっとはわかる。

Let curiosity be your guide(好奇心をあなたのガイドにすべし(?))というフレーズが Hakuba International School のスローガン(?)に掲げられているのだけれど、良い言葉だ。

こどものときに皆が持っていたはずの好奇心を、大人になるとほとんど失ってしまう人がほとんどだが、できるだけ維持することを心がけたい。いろいろなことにチャレンジしたり、おもしろい大人たちの話を聞いて刺激を受けたら、それを自分の経験や興味をもっていることと結びつけ関連づける。それこそがConnection(コネクション)であり、Intelligence(知性)だということを、こどもたちと学べたとても充実した5日間でした。






プロフィール

株式会社まちクエスト代表、つくる社LLC代表。

Scratchで楽しく学ぶ アート&サイエンスRaspberry Piではじめる どきどきプログラミングを書きました。

オンラインコンテンツ: 大人のためのScratch

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