僕は発展途上技術者

AI時代のトラブルシューティング - 3Dプリンター(Bambu Lab)9台の接続問題を解決する

「創ることで学ぶ」場を提供する青学つくまなラボには、レーザーカッターやUVプリンター、刺繍ミシンのほかに3Dプリンターが設置されており、自分で自由にデザインした3Dモデルが出力できるということで、特に初等部の子どもたちに人気だ。限られたワークショップなどの時間内に順番待ちにならないよう、ラボには多数の3Dプリンターが置かれていて、最近の主力はBambu Labのプリンターで、A1、A1 Mini、P1S 合わせて9台ある。

PCにインストールした Bambu Studio というスライサーソフトから3Dモデルのプリントを指示する際に、アクセスコードというパスワードみたいなものを入力する必要がある。一度入力すればBambu Studioが一定期間は覚えてくれるのだが、頻繁にこのアクセスコードが変わってしまっていて、いざ使おうというときに入力し直さなければならないのが問題となっていた。

上のようにプリンターのパネル上に表示されるアクセスコードを覚え、離れた場所にあるPCに戻って、アクセスコードを入力する必要があるのだが、アクセスコードが8桁という、なぜか微妙に覚えにくい長さで、最近のファームウェアアップデートのせいかアルファベットまで入ってきていて、「うーん無理!」となってスマホのカメラに撮ることが多い。これがワークショップのときなどに、9台一斉に入れ直すとなるとそれだけ貴重な時間を食ってしまう。

これまで教員もスタッフも「まあ仕方ないか」とこの状況を受け入れていたのだが、いいかげん我慢ならなくなり、対策に乗り出した。

まずは ChatGPT にストレートに質問。

プリンター側のIPアドレスを固定すると良い、とあったのでルーターの設定を変更し、DHCP でIPアドレスを割り振るときに、Bambu Lab のプリンター9台は常に同じIPが割り振られるように設定した。

DHCPの固定割り当てを設定して数日様子を見たところ、少なくともそれ以降、アクセスコードの再入力を求められることはなくなった。IPアドレスの変化が再入力の原因だったのか、別の要因も絡んでいたのかまでは確認できていないが、ラボの環境ではこれで症状が収まった。

しかし、ChatGPT の回答からは、ほかにもBambu Studio側で保存していたアクセスコードが失われ、接続できないケースがあることが読み取れる。ChatGPT の回答に、情報元として GitHub のリンクがあり、以下のGitHub の Issue のページにたどり着いた。

GitHubというのはいろいろなソフトウェアのソースコードが置かれている場所であり、Issue というのはユーザーがそのソフトウェアに関するバグを報告したり、機能を要望したりできる仕組みだ。Issue を見ると、どのような状況でそのバグが発生するのか、それに対してソフトウェア側でどのような修正や対応をおこなったのかの詳しい報告内容を確認できる。

上記ページで、いろいろなケースで接続できないことを数人が報告していることはわかった。ただ、それらの問題が実際に修正されたかはいまひとつよくわからなかったので、公開されている BambuStudio のソースコードをAIに解析させてみることにした。

こういう場合は ChatGPTに質問をするよりも、実際のコードをダウンロードし、そのコードを Claude Code に直接解析させるほうが、Web上の情報だけをもとに回答させるよりも確度が高い。

たとえば、Bambu Studio を開いたときに自動接続がうまくいかない問題は、

  1. ec4a92f40 "auto reconnect when reopen bambu studio" (2026-01-15) — v02.05.00.64 以降

という2026年1月の修正履歴があり、

(GUI_App.cpp:2214)- GUI_App.cpp の 2214 行目

(GUI_App.cpp:8711-8745)- GUI_App.cpp の 8711 行目から 8745 行目

で、少なくとも「Bambu Studioを再起動すると自動再接続できない」という問題に対する修正が入っていることが確認できた。とりあえずBambu Studioを最新版にしておくと、アクセスコードを入力し直さなければいけないケースというのが減ることがわかった。

ラボには、利用者に貸し出せるPCが30台近くあり、まだ一度もアクセスコードを入力していない Bambu Studio では、これまで同様アクセスコードを最初の一回目に入力する必要がある。1台1台にインストールされた Bambu Studio に、プリンター9台分のアクセスコードをあらかじめ入力しておくのは手間だ。そこで、アクセスコードをあらかじめ自動で入力しておく方法はないかと考え、Claude Code に聞いてみる。

1 の GUI で登録する、は解決法にはなっていない。2. で、BambuStudio.conf という設定ファイルを書き換えることで可能とある。ソースコードを解析しての回答なので、通常の質問応答よりもかなり検証しやすい。少なくとも、存在しない設定項目をAIが作り出しているハルシネーションの可能性は低そうだ。

利用者に貸し出すPCの BambuStudio.conf を書き換えるツールを用意しておき、それを実行してもらえば、最初の一度きりとはいえ、いちいちプリンターのところまで行き、アクセスコードを確認してPCに入力するという手間がいらない。

Claude Code の助けを借り、Bambu Studio アクセスコード一括登録ツールを作成した。同じような問題を抱えている方や施設でも使えるようGitHubで公開している。

https://github.com/tukumanalab/bambu-access-code-importer

このツールを実行すると、9台分の3Dプリンターのアクセスコードを一括登録でき、Bambu Studio を起動すると全プリンターに自動接続できる。かなり便利だ。

こうして、3Dプリンターのアクセスコードをいちいち入力し直さないといけないという面倒な問題を、各種AIの力を借りながら解決できた。

振り返ってみると、問題解決の手順そのものは以前とそれほど変わっていない。Google で検索したり、GitHub の Issues をたどり、必要ならソースコードを読み、最後は小さなツールを開発する。だが、AIを使うことにより、膨大なIssueやソースコードから関係しそうな場所を探し出し、解決方法が見つかれば、その場で何度も試行錯誤しながら、圧倒的なスピードでツールの実装まで進められる。AIによって「問題解決の方法」が変わったというより、これまで人間がやっていた調査と実装の速度が大幅に上がった、と考えるほうが近い。

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