半島を出よ
梅田望夫氏のblogで紹介されていて面白そうだと思ったので読みました。周りでも読んでいる人は多いみたい。
以下はややネタバレなので、読んでない人は注意して読んでください。
(アナーキーな少年たちの)なぜラストの行動に繋がるのか? 僕にはまったく彼らの心境が理解できないのですが、あれは少しでも心当たりがあるのが普通なのでしょうか。
という感想には同感。結末をハッピーエンドにするため、そういう話の展開にしたのかもしれないが、前半が結構リアリティあふれる展開で、リアルであるがゆえに、「もしかしたら結構こんなことが現実に起こってしまうのかな」と思わせてちょっとした怖さを引き起こしているのに、後半ではかなりありえない完全にお話というかフィクションになってしまっているのが違和感があった。それでも、この後半部分が、ハリウッド映画を観ているようでどんどん引き込まれ、面白いは面白いのだが。
toshi の 「今日もマイペース」が言うように、確かにグロい描写が多い。収容所の描写などは結構きつい。
著者の日本経済、日本の価値観、若年層犯罪、日本そのものに対しての見方が色濃くにじみ出た小説
というのが彼の見方で、まさにその通り。
で、僕はこの本をどう読んだかというと、平和で何不自由なく育った日本人の僕がとんでもなく弱い存在だということを思い知らされた物語だ、というのが感想。
小説のような危機的状況において、きっと僕は何も対処できなんじゃないかと。いわゆるハングリー精神というか、タフさ、サバイバル力みたいなものが、小説中に登場する北朝鮮の人たちと比べて圧倒的にないと痛感する。
アメリカで働いていたときの同僚の大部分はロシア人だったのだけれど、彼らは軍隊で鍛え上げられていたり、配給で物が充分でない生活から、家の庭を畑にして野菜を栽培する知識を持っていたり、食べられる野草やきのこを見分ける術を知っている者がいた。また、仲が良かった韓国人からは、軍隊での厳しい生活の話を聞いていたりしたが、そういう彼らと比べると、僕もそして多くの日本人もとてもひ弱な存在に思えてしかたがない。
平和な生活をもう60年近くも続けているのだから無理もない話ではあるが、本当にこれでいいのだろうか、と思う。何か出来ることはないのだろうか。
気休めかもしれないが、とりあえずキャンプでも始めて、例えば火を起こす方法、からでもいいからサバイバルの知識を少しでも身につけておいたほうがいいかなと僕は本気で思っている。
2005/06/14 02:19:50