僕は発展途上技術者

タダより高いものはない?オープンソースソフトウェアの話


この日記を良く読んでくれている人たちからは、「またかよ」という声が聞こえてきそうだが、梅田望夫氏のコラムの引用。


「オープンソース現象の新たな可能性」


http://www.mochioumeda.com/archive/sankei/030919.html


厳密には オープンソースソフトウェア=無料 というわけではなかったとは思うが、ほぼ全てのオープンソースソフトウェアは無料で使うことができる。そして驚きなのが、同じ機能を持つ有料のソフトウェアとほとんど変わりない、あるいはたいていはそれを超える性能を持っている、ということだ。


タダより高いものはない、なんて言葉があるが、ソフトウェアに関してはどうやらこの言葉はあてはまらない。私は、子供の頃から本が好きだったので、図書館で本がタダで借りられるということを初めて知ったときにはものすごく感激した。そしてオープンソースソフトウェアを初めて知ったときにも同じような感激を覚えた記憶がある。


私も今、POPFile というオープンソースソフトウェアの日本語化という、些細な貢献をしているが、この開発に関わっているのがすごく楽しい。世界中からこのソフトの開発に協力したいという人たちがフォーラム上に集まってきて、皆が少しずつ自分の得意分野での協力を無償で提供する。プログラムができる人は機能改善やバグの修正案を提案したり、プログラムができない人はじゃあドキュメントを作る手伝いをしたり、ドイツ人はマニュアルやソフトウェアのユーザーインターフェースをドイツ語に翻訳したりというように。こうした活動が、ソフトウェアの作者であるリーダーの緩やかなガイドだけによって、不思議と形を成し、しかもそれがパッパッと迅速に進むのが驚きである。


例えば、私が関わっている日本語化は今年始めに提案したのが受け入れられて、近々登場する次のバージョンではいよいよ取り込まれる予定なのだ。私が昼間勤めているソフトウェア会社は元はベンチャーだから大企業よりは迅速に物事が進むとはいえ、こうまで素早くソフトウェアの日本語化が進むことはない。


オープンソースソフトウェアへの関わりについては、まだまだ書きたいことがあるので、また別の機会にでも。メールマガジンにでもしてみようかなとも思っていたりする。



シリコンバレーの会社で働くには?


シリコンの谷は、いま。


http://www.1101.com/siliconvalley/index.html


この連載、私にとって非常に面白い。共感できるところがたくさん、というか境遇があまりに一緒。


僕はサンフランシスコベイエリアにあるソフトウェア会社で働く国際化QA(Quality Assurance)エンジニアだ。今までは、自分がアメリカでどんな仕事をしているのか、どんな会社にいるのかということを、例えば親や親戚に説明するのが難しかった。ソフトウェアの話から始まって、ソフトウェアの国際化・多言語化の話、なんてしだしたらもうわけがわからなくなってしまう。易しく説明するのが難しいのだ。


この連載は上田ガクさんというシリコンバレーで働くソフトウェアエンジニアの方が、シリコンバレーの状況、そしてどんな仕事をしているのかといったことを非常にやさしく、わかりやすく説明してくれている。第4回の「シリコンバレーの会社で働くには?」などは、まさに私がこちらに来れたパターンそのものを説明してくれている。これは良い。今度から、「どんな仕事をしているの?」と素人に聞かれたら、この記事通りに説明するか、「この記事を見てください。だいたい同じようなことをしています」と言えるようになった。



POBox


入力を予測して漢字変換する POBox というソフトが POPFile と並んで紹介されていた。


http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Cupertino/5165/200308.html


POBox を使って例えば、「ありがとう」というフレーズを入力したとする。その後、再び「ありがとう」と入力する際には、ローマ字入力で a と入力しただけで「ありがとう」を候補に表示してくれるのだ。ソフトに「皆まで言うな」と言われているみたいだ。「一を聞いて十を知る」勘の良い、日本的なソフトだ。残念ながら、Windows 上で使える POBox for Windows の使い勝手はいまいちで、確定してリターン、候補を実際に画面に送るのに再度リターン、とリターンを2回タイプするのが面倒。このあたりが改良されれば、非常に便利なソフトだと思う。


コンピューターは専ら、同じ作業を高速に何度でも繰り返すことに使われている。反面、融通が利かないのが欠点だ。POBox や POPFile は学習し考えるソフトウェアであるところが、新鮮。でもこれこそ実は、コンピューターが現れた頃に、皆が持っていた「しゃべるコンピューター」「考えるコンピューター」のイメージに近いのではないだろうか。



リターナー


評価:7/10


意外や意外。面白い。ハリウッド映画のパクリの連続、とりわけマトリックスからのパクリだらけだが、仮想世界だから簡単に弾丸をよけられる、という説明よりもこちらの映画の説明の方が納得がいく。


×なのは、悪役の台詞が漫画チックで幼稚(「これがパワーだよ」とか)なのと、ラストのシーンのための伏線が伏線とは言えないほどの説明のし過ぎで結果が読めてしまい感動が半減してしまったこと。


でも、繰り返すようだが、意外と楽しめる作品である。


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popfile.sourceforge.jp


「POPFile の日本語化」ページを http://popfile.sourceforge.jp に移しました。Sourceforge.jp のプロジェクトに承認されたのです。フォーラム(http://sourceforge.jp/projects/popfile/forums/)では、日本語での投稿が可能なので気軽に利用していただきたい。



ボーリング


アメリカに来て初めてボーリング場に足を運んだ。ボーリング場なんて日本もアメリカもほとんど同じだろうと思っていたけど、やはり違う点がいくつか見つかって面白い。



  • 最大の違い。妻が投げられる軽いボールがない。日本では 8 とか 9 を投げていた妻がやっと見つけた一番軽いボールが 11。係の人に聞いたら、それ以上軽いボールは子供用で指が大人には合わないだろう、とのこと。非力な平均的日本人女性に投げられるボールはないのだ。おかげで、100は切ることがないという女性では平均以上と思われる妻でも、そのスコアは散々。となりのレーンに目を向ければ、平均的と思われるアメリカ人女性がそれはそれは豪快に投げていた。

  • 見かねたその女性が妻に指導を始める。ストライクやスペアを取れば、一緒に喜んでくれる。こういう風景もオープンなアメリカならでは。日本(東京?)でボーリングをしていて、見知らぬ他人が話かけてくるなんてまずない。

  • 終わったあとにスコアを印刷してくれない。日本だとまずどこのボーリング場でも終わったあとにスコアを渡してくれる。それがない。あっさりしたものだ。スコアの印刷はアメリカじゃあ過剰サービス?


飲茶


9/1 は Labor Day でアメリカでは祝日だ。


Hong Kong East Ocean という飲茶のレストランに行った。おそらく祝日で従業員が少ないのか、あるいはこのレストランのスタイルなのか、飲茶特有のワゴンががらがら運ばれてきて、並んでいる食べ物の中から好きなのを選ぶ、というのではなく、メニューにある食べ物の中から欲しいものを鉛筆でチェックして運んできてもらうというスタイルだった。味はなかなか。レストランのほとんどがはずれであるアメリカの中で、おいしいものが食べられる所は貴重である。


そのレストランがおいしいかまずいかをあらかじめ見分けることができる最も有効な見分け方、それは、まあ良く言われることだが、来ているお客さんを見ることである。中華レストランなら、中国系の人がたくさん来ているかを見る。Japanese Restaurant なら日本人、Indian Restaurant ならインド人、Korean Restaurant なら韓国人がたくさん来ていれば大丈夫だ。こういったレストランのお客さんが例えば白人だけという場合には、間違いなく「はずれ」である。Hong Kong East Ocean は、待っているお客さんの9割以上が中国系だったので、食べる前から「ここは大丈夫だろう」と分かっていたようなものだ。


そしてもう一つ。受付やウェイトレスが美人であれば、そのレストランの出す料理はおいしい、という法則がある。これはほぼ間違いない経験則だ。味が良くて評判が良いレストランは、そこで働きたいという人がたくさんいるから、容姿までを採用基準に入れる余裕があるということだろうか。



POPFile の推薦文


okdt さんが POPFileインストール記録を書いてくれている。「まるで浄水器をとりつけたような快適ぶり」という表現がうまい。まさにその通り。



The Lord of the Rings - The Two Towers (Widescreen Edition)


評価:7/10


Lord of the Rings は1作目からDVDを買うことにしている。何度も見る価値があると思うし、台詞が綺麗な英語なので、英語の勉強になると思うから。


DVD を手にレジで並んでいたら、後ろに並んでいる人が、「それは Good Choice だね」と言って自分が買おうとしている同じ The Two Towers の DVD を指差している。このようにアメリカでは同じものをたまたま買おうとしていると、「君も買うんだ。俺も買うんだ。これいいよね」と言って気軽に話しかけてくる。


内容は申し分ない。3時間近くの長さを感じさせない。風景の綺麗なシーンの連続で見入ってしまう。そこにファンタジーの世界の建物が映し出され、どうやって撮っているんだろう、と感心し通し。話の展開は第一作の方が良いかな、とは思ったが、そこは第三作目への繋ぎであるからしょうがないという気がする。映画だけではきっとカバーできない内容の濃さ。いつかは原作を読んでみたい。


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POPFile を slashdot.jp に紹介


したら、すごい反響。日本語化パッチのページのカウンタは昨日1日だけで500以上カウントされていた。


slashdot.jp の記事につけられたコメントを読むととてもためになる。パッチを作っておきながら、肝心なベイズ推定のことなんてあまり良くわからなかったのが、コメント内のリンクをたどっていくことで、随分と勉強になった。id:masah さんの日記でも紹介されていたスパムへの対策 ---A Plan for Spamが特に面白い。


私のお気に入りのゴンさんのサイトでゴンさんが言う



知識はブーメラン。出せば出すほど戻ってくる。



あるいは、namazu の作者高林哲さんのサイトで高林さんが「作品を公開する理由」で言っている



情報は情報を公開する人のところに集まる



という言葉を身を持って体験した。



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